機械弁の音を誇らしく思いたい。

投稿者: | 2018年2月14日

スタンフォードA型の大動脈解離。
それを起こしたときに、大動脈弁にも損傷を起こすことがあります。
そうなったら、機械弁に移植しないといけません。

私もそのひとり。
私の大動脈弁は機械弁です。
バチバチという心拍音がかなりの音を立てて響きわたります。

剣道の稽古のとき、「黙想」という時間があります。
通常は稽古の開始前と終了後に行います。

「正座、黙想」という掛け声。
その後、剣士たちは両手を重ねて親指を合わせます。まるでお釈迦様のような格好。
そして目を瞑り、呼吸を整え心を鎮める作業を行います。
この時、道場である体育館は、波を打ったようにシーンと静まりかえります。

その時、私の大動脈弁は相変わらず、バチッバチっというけたたましい音を立てます。
正直なところどこまで聞こえているかはわかりません。
でも、静まった体育館中に響き渡っているのではないか、という錯覚を覚えます。

黙想中に、自分の心拍音が隣の人たちに聞こえているのではないか?
恥ずかしいなぁ。
そんな煩悩が私を襲います。

でもそれは本当に煩悩なのです。
恥ずかしいことではなく、自分が生きているという紛れもない証。
むしろ誇らしく思うべきなのです。

この音にも慣れました。
たまに不整脈も発生しますが、もう気にすることはありません。
逆にいうと、その音があることに幸せを感じるのです。
生きているという証。
これは何事にも代え難いものです。

煩悩を消し去ること。
人生は修行です。
この修行は、きっと一生続くんだろうな。

その運命を受け止めたいと思います。