通常、大動脈解離を発症すると、今まで感じたことのない激痛に襲われます。
バットで殴られたような痛み。そんな表現をされたりします。
また、痛すぎて失神したりすることもあるそうです。
大動脈解離と痛みは切っても切れない関係なのです。
私の場合、胸部から下腹部にかけて、身体の奥の方で熱湯が流れて行っているような感じでした。
激痛と言われると激痛だったのかもしれませんが、今まで味わったことのない強烈な違和感、といった方がしっくりするかもしれません。
ところが、大動脈解離には痛みを伴わないものもあるということです。
痛みのない大動脈解離は、解離全体の10%にのぼるともいわれています。
なぜ痛みを感じないのでしょう?
ポイントは、脳にあるようです。
大動脈解離によって、脳に行く血管がダメージを受けると、脳全体に十分な血液が行き渡らなくなります。
あたかも認知症の患者さんのように、認知機能の低下とともに、眠気や昏睡などの覚醒障害が現れます。
要は、認知機能の低下によって、痛みも感じなくなってしまうということです。
通常の大動脈解離の症状とは全く正反対。
これは非常に判別が難しいといわれています。
痛みのない大動脈解離。
その判別のポイントはごく僅かです。
それは、今まで認知機能は全く正常だったのに、突然認知症のような症状を呈するようになること。
これは、周囲の人が気づいてあげるしかない。
少しでも異常を感じたら、救急搬送を想定した対応が必要になってきます。
急性大動脈解離は時間が勝負。
一刻の猶予もないことを肝に命じておきたいところです。