大動脈解離から復活して2〜3年経った頃でしょうか。
大変お世話になった人生の大先輩から、銀座の高級クラブに連れていってもらったことがありました。
そこのクラブのママと、たまたまですが二人きりでお話しできる時間がありました。
その時に、私の病気のことが話題になりました。
急性大動脈解離を発症。
緊急手術を経て、いまはなんら後遺症もなく、運良く今までと同じように生活できていること。
その一部始終をママにお話ししました。
それをすべて聞き終えたママが、最後にこうおっしゃいました。
「貴方は運が良かったのではなくて、生かされているの。その生かされた意味を貴方自身がしっかり認識して、これからの人生を歩んでいくことが大事なの」
要約するとこんな感じの言葉でした。
「生かされている」
本来なら死んでいたのに、そうはならなかった。
まだ死んではいけない、と生の世界を引き戻された。
まだ生きていなければならないのだ。
そんな不思議なニュアンスを感じる言葉でした。
私の今までの人生の中で、初めてかけてもらった言葉でもありました。
そのママがどういう想いでその言葉を発したかは分かりません。
でも、銀座の夜の街で、多くの男たちを見てきたママから頂いた言葉には、強烈な説得力がありました。
生きていることにはなにか意味がある、ということなのでしょうか。
普段このようなことを考える機会はほぼありません。
では、「その生きている意味」とは何なのか?
そんな難しいことは、正直なところ私のような人間には分からないです。
でも、その答えは、きっと自分の中にあるんだろうな、とは思います。
人からその意味を与えられるのではなく、自分で導き出すこと。
逆にいうと、それを探求し、見極めていくことが人生なのかもしれません。
でも、難しく考えても、今日明日で答えが出るような問題ではありません。
生きているだけで儲けモノ。
そう考えるとまわりの景色がまるで違って見えてきます。
ママからもらった言葉。
これからの人生でもっとも大事にしたい言葉のひとつです。