降圧薬ミカルディスの後発品(ジェネリック)が発売。このジェネリック医薬品の普及が意味することとは?

投稿者: | 2017年6月21日

一般的にはあまり知られることはないのですが、高血圧治療剤の「ミカルディス」の後発医薬品(ジェネリック医薬品)が6月16日に発売されました。
ミカルディスは、その成分が含まれる合剤を含めると、日本だけで1,000億円近い売上があります。
服用されている患者さんも相当数いらっしゃることと思います。
その巨大市場に、効果が同じで割安なジェネリック医薬品が参入する事になりました。

ジェネリック医薬品の薬価は、先発品ミカルディスの約40%。
ミカルディスを服用されている患者さんは、今後はミカルディスと効果が同じで、なおかつ薬価が6割も安いジェネリックを服用することができるようになります。

これが意味することとは何でしょうか?
ひとつ目は、患者さんが医療機関にお支払いする一部負担金が減る事です。
効果は全く同じなのに、窓口での薬代としての支払いが減る。
患者さんにとっては非常に大きなメリットです。

薬を服用しない国民にとってもそうです
ジェネリックが発売される事により、医療費はそのぶん減るわけです。
税金や健康保険により賄われている医療費が減ることは、今後増え続ける社会保障費の伸びを抑制することが出来るわけで、一般国民にとっても大きなメリットとなります。

国もジェネリック医薬品の使用を促進するべく、ジェネリックを積極的に処方した医療機関に、診療報酬上のインセンティブを付与して積極的に使用を推進してきました。
今後もこの流れは続いていくこととされており、2020年度までに、後発品に変更可能な先発医薬品の市場のうち、80%以上を後発品に切り替えていく目標を掲げています。

一般国民にとってはメリットが大きいジェネリック医薬品の使用促進。
でもその裏には各方面でいろんな思惑が働く事になります。

先発医薬品を販売するメーカーは、特許が切れてジェネリックが発売されると、売上が急激に落ち込む事になります。
その売上減少を最小限に抑えるためいろんな手段を講じます。
新しい効能効果を追加してその特許期間を延ばしたり。
最近は先発品そのものをジェネリック化する、オーソライズドジェネリック(AG)と呼ばれる手法を用いたりします。
一般国民にはほぼ理解が困難な手法で、売上や利益を確保しようと必死になります。

処方する医療機関にとってはどうでしょう。
薬価差益(医薬品の購入額と保険者からの償還額の差額)は、医療機関にとっては経営上の生命線です。
薬価の高い先発医薬品から得られていた薬価差益は、ジェネリック医薬品に変更する事によって大幅に減少する事になります。
先発品をそのまま使うと診療報酬が減るよう政策誘導されているため、後発品に切り替えざるを得ません。
そうなると、医療機関側は、後発品をなるべく安く購入しようと動き始めます。

その動きに呼応して、後発品メーカーは売上を確保するため、価格を極端に安くしてシェアを確保しようとします。
そのため、メーカー間で泥沼の価格競争が展開される事になります。
なにせ、今回のミカルディスのジェネリックには、後発品メーカーが22社も参入しました。
価格競争は、ある意味必然の流れなのかもしれません。

患者さんや国民皆保険を守るため、裏側では激しい攻防が繰り広げられる事になります。
ただ、この流れはもう止めることはできません。
なにせ日本はすでに超高齢社会に突入。
限りある財源の中で、医療費の適正な再配分が行われなければならないからです。

これからの日本の医療業界は、激変の中で推移していくものと思われます。業界の淘汰、再編は必至の状況。
今後も行政からはいろんな施策が展開されていくことと思いますが、正しいもの、ホンモノが生き残っていく業界であって欲しい。
医療業界に身を置くものとして、それを願わずにはいられません。
合理的かつ公正な競争が繰り広げられる事を期待したいと思います。

 

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